キルケズルブログ

切削についてのブログです。

切削速度の計算方法-切削速度と公式の意味も紹介

切削するときの回転速度を切削速度(周速)と呼びます。

旋盤加工ではワークの回転速度を、フライス加工の場合は工具の回転速度が切削速度です。

この記事では切削速度(V)を求める公式とその意味をご紹介します。

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切削速度の計算方法-切削速度の公式の意味も紹介

切削や工具の仕事をする場合に必要となる知識の一つが切削速度を求める方法です。

切削速度は工具やワークの回転する速さを表す速度で、V=○○m/minで表します。

 

切削速度(周速)の計算方法(公式)

切削速度の計算方法は以下のとおりです。

切削速度=π×直径(mm)×回転数/1000

V=πDN/1000

V:切削速度(m/分)、D:直径(mm)、N:回転数(RPM-回転数/分)

 

例えば、径が200mmで回転数が100RPMであれば、切削速度は、

V=3.14x200x100/1000=62.8m/minとなります。

※÷1000は直径がmm、切削速度がmなので、単位を合わせるための計算です。

 

切削速度(V)とは

切削速度とは、旋盤ではワークが、ミリングでは工具が回転するときの回転する速度です。言い換えると、ものが回転したときにどれくらい進むのかを指します。

単位はm/minで、V=○○m/minと表されることが多いです。VはVelocity(速度)の頭文字のVです。

同じ回転数であっても、回転物の径が大きいほど切削速度は速く、径が小さいほど低くなります。つまり、大きい物の方が多く進むとも言えます。

例えば、下の図のように、大きさの異なるタイヤが1分間にそれぞれ1/4回転する場合、右側の大きなタイヤのほうが矢印が長くなっていることが分かります。つまり、「同じ回転数であれば大きな円のほうが沢山動いている=切削速度が速い」のです。

 

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直径(D)とは-直径と外径と内径

Dは円の直径です。基本的に「mm」若しくは「m」が単位で、D=○○mm表します。DはDiameterの略です。

真ん中が空洞になっている円の場合、穴部分の直径を内径、外側の部分の直径を外径と呼んで区別します。

下の図では赤の部分が内径、緑の部分が外径です。内径はID(Inside Diameter)、外径はOD(Outside Diameter)とも呼ばれます。

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回転数(N)とは

回転数は1分間に物が回転する回数の事を指します。単位はRPM(Revolution per Minute)で、N=○○RPMと表します。

例えば1分間に500回転する場合、N=500RPMとなります。

車の運転席についているガソリンなどが表示されているモニターにRPMと書かれていることがあるのですが、そのRPMはタイヤが1分間に何回回転しているかを指しています。

  

公式「V=πDN/1000」の意味

最初に切削速度を求める公式「V=πDN/1000」をご紹介しましたが、最後にこの公式の意味を解説します。

切削速度は回転する物体の回転速度のことです。これまで紹介してきたように物の径が大きいほど1回転する時に進むスピードは速くなります。

例えば1m(1000mm)の直径のタイヤが1分間に1回転する時に進む距離=周速を求めたい場合、このタイヤの外周(円周)の長さ分だけ1分間に進むことになります。

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なので、まずは1mのタイヤの外周(円周)の長さを求めます。

タイヤの外周の長さ=1000mm×3.14=3140mm/min

1分に1回転なので、3140mm×1RPMとなり

周速(m/min)に直すと、3140/1000=3.14m/min=周速となるのです。

1分に2回転するなら、

V=1000x3.14x2/1000=6.28m/minが周速となります。

これを式に表したのが

V=πDN/1000なのです。

ちなみに、何故わざわざ1mを1000mmに直したのかというと、基本的に周速を求める対象物は1mよりも小さい場合が多いため、mで計算すると0.525mとか、0.34mなど、計算しづらい値となります。

つまり、始めにmmへ変換して、525mmや340mmで計算したほうが計算しやすいので、mmで計算してから、最後の/1000をしてV=m/minとして算出しています。

 

※筆者おすすめの切削についての本はこちら

 

終わりに

この記事では、切削を考える上でベースとなる切削速度について、その求め方と意味をご紹介しました。

切削速度は物が1分間回転する時に進む距離=回転する速さのことですので、外周の長さに回転数(RPM)をかけてあげて、単位をmに直すために/1000をすれば求めることができます。

 

V=πDN/1000

 

切削速度の公式は切削を考える上で非常に重要となりますので、ぜひ覚えてみてください。

 

 

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