切削の中でも切る加工のことを切断加工と呼びます。木材、金属ともに切断では鋸を使用することが多く、とりわけよく使用されるのが丸鋸です。
この記事では丸鋸について種類や用途をご紹介します。
丸鋸とは-丸鋸の種類や用途をわかりやすく解説
切断加工ではレーザーや水圧など、様々な方法が用いられますが、中でもメジャーなのが刃物での切断です。刃物での切断では、丸鋸、帯鋸、ナイフなどを使用します。
丸鋸とは、丸い円板に超硬合金やサーメットでできたインサート(チップ)をロー付した鋸のことで、高速で回転させることで、木材や金属を切断することが可能です。
丸鋸の中でも用途別に様々な種類があるのですが、代表的な丸鋸として、チップソー、コールドソー、ホットソー、メタルソーがあります。
チップソーとは
チップソーは常温での切断を行う刃物です。
チップソーという言葉は工具業界では刃物(丸鋸)を指しますが、別の業界では丸鋸を取り付ける機械のことを指す言葉でもあります。
この記事では刃物のチップソーをご紹介していきます。
チップソーというのは、丸鋸の一種なのですが、基本的に木材やアルミで使用する丸鋸をチップソート呼び、特徴としては、ロー付されたインサートがポジの刃角度となっていることが挙げられます。
チップソーは超硬をベースとしていることが多く、金属ではアルミや銅などの非鉄金属切断に使用されます。
また、木材やアクリル切断でも使用することが多い丸鋸です。
ちなみに、鉄系の金属も切断することがありますが、薄板やモールなどの厚みが薄いものがメインです。
工場などの据え付け機、また、電鋸などの一般向け工具としても使用されます。
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コールドソーとは
コールドソーは、金属の常温切断で使用される丸鋸です。
円盤上の台金に超硬、サーメット、PCDなどのチップがロー付けされており、主に鉄・非鉄金属の切断に用いられます。
チップソーがポジの刃角度だったのに対し、コールドソーはネガの刃角度です。
金属切断では帯鋸や砥石を使う場合もありますが、コールドソーを使用する利点として、帯鋸などに比べて切断の速度が速く、美麗な切断面を得ることができます。
オンラインの走行切断機、オフラインの切断機のどちらにも使用できる刃物で、中実材もパイプもどちらの切断も可能です。
一方で刃型がネガとなっていることが多いため、2mm以下の薄肉パイプの切断には適しておらず、薄肉パイプにはハイスのメタルソーを使用することが多いです。
また、円盤状の工具ということで、切断できる材の径が限られており、大きな材を切断したい場合にはバンドソー(帯鋸)を使用することが多いです。
ホットソーとは
ホットソーは電縫管製造工場の造管ラインなど各種形鋼鋼材の加工熱処理工程で、高速切断を実現する丸鋸刃です。
コールドソーが常温での金属切断であったの対し、ホットソーはその名の通り高温での切断を行います。
切断中は850℃を越える高熱となるため、コールドソーでは切断できない環境下での切断が可能です。
メタルソーとは
メタルソーはHSSのソリッド工具で、コールドソーと同じく円盤型の工具ですが、チップソーやコールドソーと違いチップがロー付けされていません。
鋼材が超硬よりも柔らかいため、刃先を鋭利に研磨することができ、金属切削では、薄肉パイプの切断に適しています。走行切断機でも使用されることがあります。
中実材の切断には適しておらず、基本的にパイプの切断に使用される工具です。
工具寿命は短くなりますが、研磨回数を増やすことができ、イニシャルコストも抑えることができるため、柔らかく薄い鋼材の切断を抵抗コストで実現したいという場合におすすめな丸鋸です。
鋼材と切削を詳しく知るなら
鋼材の特性や鋼材ごとの切削方法をより深く学びたいと思ったときにおすすめな本として、『元素から見た鉄鋼材料と切削の基礎知識』という本がおすすめ。
鋼材の特徴を詳しく解説しながら、その特性に適した加工方法を解説している本で、私もこの本を使って勉強しました。
切削について興味があるという場合には是非こちらの本を読んでみてください。
終わりに
この記事では、切断加工の主な工具である丸鋸をご紹介しました。
丸鋸は丸い円板の板にインサートをロー付した切断用の鋸で、チップソー、コールドソー、ホットソー、メタルソーなどの種類があります。
切削できる材の大きさなどが限られてくる工具ではあるのですが、早くきれいに加工できるのが魅力ですので、ぜひ使用してみてください。